マインドパレス:ジータ・バジルの奇妙な体験

テッセレーション第10ラウンド「マインドパレス」が回収され、新たな文献が明らかとなった。
マインド・パレス

国家情報局
電子化禁止 // 1968プロトコル // 複製禁止

ケンドラ・オーウェン局長代理への覚書

オーウェン局長、ご存知のとおり過去に「創作」として処理されていた作品に注目しているところです。エキゾチックマターに関連した現実の機密情報はほとんどないと見ていますが、時として未だ発生していない出来事を事前に提示することさえあります。

「M.A.N.I.A.」と呼ばれる小説の原稿は、「国家情報局殺人事件」の頭文字読みした神経質にならざるを得ない題名ですが、それ以外にも添付のファイルが送られてきています。この小説で問題となる被害者とは、どうやらエゼキエル・カルビンとジェイ・フィリップスのようです。

今回の報告書提出の時点では両名とも存命であり、これに関しては幾つかの解釈が可能となります。まずは将来的にカルビンとフィリップスが爆殺されるというものです。しかしながら、この小説を精査したところでは未来を予知したものではなく異なる平行世界の過去を切り取ったものではないかと分析官はみています。

諜報機関では我々の世界(ノード)が他の際限なく存在する多次元世界における歯車のひとつに過ぎないことは既に知られているところですが、他の次元世界と差別化させるために我々の世界はオシリス・ノードと位置付けられていますし、最も近似の平行世界であり我々が最も多く接触してきた別世界のことは1218世界と呼称しています。そこで、この小説に描かれた描かれた出来事は1218世界において2017年に起こったことのようです。新たな情報を求め小説の全容入手に努めているところです。

[チャプター]
その日のロサンゼルスは酷い渋滞だったが、天使の街で最も凄惨な日でもあった。何時間にも感じた大渋滞を抜け、ようやくジータのレンタカーはフランクリン大通りへと入った。勾配の激しい道を巧みに抜けると、そびえるような馴染みある城が目に入り、思わず微笑む。ロサンゼルスを大渋滞に陥れた今回の事件が長引くようなら、ハリウッドでもお気に入りの場所へ赴くのも悪くはなかった。セントラル・オムニリティクスからエゼキエル・カルビン、ジェイ・フィリップス両名の死因を調査するよう指示されたときには、マジック・キャッスルへ赴くことになろうとは思いもよらなかった。

車から降りるときにはマジック・キャッスルの厳格な服装規定を入念に着こなした見事な姿となっていた。近くにいた係員に車の鍵を渡し、荘厳な雰囲気をしばし味わうと、両開きの扉を抜けてマジック・キャッスルのエントランスホールへとジータは歩み進んだ。そして、フロントにいる女性へと伝える。

「ジータ・バジルです。ミスティ・ハンナとお逢いするために来ました。」

注釈:ミスティ・ハンナに関しては「プロジェクト・ワラタ」及び「ナイアンティック計画」を参照

「もちろんです、バジルさま。行き方はご存知のとおりです。」

桜桃のような赤毛をした女性はそう応じた。傍目には迷った様子もなくつかつかと本棚のひとつへ歩んでいくと、赤瞳を明滅させた金箔の梟像の前に立った。躊躇なく「ひらけゴマ」と梟像に向かって言い放った。程なくして、見せ掛けの壁板がスライドして通路が現れた。グランドサロンへと歩みを進む前、ジータは先にある甲冑に形ばかりの会釈をしてみせた。

マジック・キャッスルの装飾は著名なクラブ会員からの数多くの寄贈品によって随分と折衷的な組み合わせとなっている。マジック・キャッスルは世界屈指のマジック会場のひとつであり、会員資格を有する数少ないマジシャンたちとその個人的な招待客に対してのみ開かれた場所なのである。
ジータはマジックの愛好家であったため、ミスティ・ハンナのことも知ってはいたが、この捉えどころのない奇術師と面識はなかったし、実際にその上演を見たこともなかった。ミスティから手書きのカードを受け取り、マジック・キャッスルのインビジブル・イルマ・ルームで落ち合うよう指示を受けたときに少しばかりの興奮もなかったと言えば、嘘となるだろう。それは名高いミスティ・ハンナに期待していたとおりの芝居がかったものだったからだ。

殺人事件の公開捜査でミスティ・ハンナに調査が及ぶような状況には決してなかったが、ジータはこの史上屈指となる憧れの対象に逢えることに期待したし、同時に贈り物にけちをつけるようなことはしたくなかった。

マジック・キャッスルを訪れたジータは、グランドサロン・バーの裏に隠されてあったインビジブル・イルマ・ルームで寛いだ。イルマとは、この城が個人の所有物であった時代に働いていた従者の亡霊だという逸話があるという。生きるが如き死の中で、イルマは卓越したピアノ奏者であり、騒々しい現世を去るだけでは鍵盤を叩くことを止めることもなかったわけだ。マジック・キャッスルの招待客たちのためにリクエストのあるであろう曲は死後一切弾かれてこなかった曲すらもイルマは準備していた。

ジータはグランドピアノの右脇にあるカナリアの籠へ1枚の5ドル紙幣を滑り込ませると、そっと囁いた。「イルマ、ミスティを弾いてくれませんか?」そしてジータが二人掛けのソファに身を沈めるとすぐに、あたかもピアノ自身が古いジャズスタンダード曲を演奏し始めた。ジータは再び笑みをこぼした。ミスティからのメモには、ジータがここを訪れたときにこの曲をリクエストすることも記されていたからだ。経験豊かな演者にとってユーモアは不可欠のものらしい。

お気に入りのマジシャンにナイアンティック計画の研究員がいたことはジータにとってみれば奇妙な偶然のようなものだったが、もしジータがエックスエムのことを知っていたならば、それが偶然のこととは思えなかったことだろう。
ミスティが現れる様子はなく、ジータはスツールに座りなおすとオールド・ファッションドを注文した。ぐいと一飲みしてスツールの上で向きを変えると、煌めく鍵盤をじっと見つめていた。やがて、ジータは眩暈を覚えた。視界はぼやけ、バーテンダーがカクテルに何か盛ったのではないかという思いが脳裏を過った。

ジータは信じがたい思いであたりを見回した。確かにマジック・キャッスルとは名ばかりの城であったが、ジータが今目にしているのは宮殿としか言いようのない場所だったからだ。無論、どうにかして自ら転座したなどとは到底信じられるものではなかった。何者かがカクテルに幻覚剤を盛ったに違いない、そうとしか説明のしようがなかった。

注釈:転座に関しては「ハイパースレッディング」及び「テレポータリング」を参照。

それでもだ、ジータはそれが現実のように思え、立ち上がると周囲を確認していった。この場所が薬を盛られたことで生じた空想の産物であるなら大したものだった。この宮殿はマウリッツ・エッシャーが手掛けたもののように思えたのだ。到底有り得ない階段がジータには天井にしか思えぬ場所にある扉へと続いていた。

ジータは左手にちらりと見えた。そこにいたのは小さな白兎、ただ1匹であった。その白兎が45度で上へと伸びる階段をおどけるような仕草で跳ね進んでいたのだ。

「私のことをからかっているのですね」
ジータは小声でそう呟いた。

本来であれば浮かぶであろう怯えがジータにはなかったことは、彼女の唇に浮かんだ笑みが示していた。ジータはルイス・キャロルを思い出したのだ。

注釈:ルイス・キャロルに関しては、センシティブの可能性がある人物として名が挙がっている。

白兎は跳び降りてきた。物理法則に従うのであればこの白兎は墜落してきたことになるが、その物理法則もここでは意味をなさないようだった。
その小さな白兎は常識ではあり得ないような階段を登ろうとしていたが、特段慌てることもないジータはためらいがちにもそばまで行ってみることにした。

その一段目を前にジータは足を止めた。「到底登ることなんてできはしない」とジータには思えたのだ。「試そうとすることさえ常軌を逸したことだ」と。だが、やがてジータは風に注意を払いつつも階段へおずおずと一歩踏み出した。すぐさま後ろへひっくり落ちるはずだった。だが、そうはならず、一歩を踏み出した途端に重力が切り替わったかのようだった。首を左右に振ってはみたが、こんな馬鹿げた経験は記憶にもなかった。確かに、このような経験は人生で一度たりともなかったのだ。

ジータが付いてきていることに気づいた白兎は歩みを速め、残る階段を駆け上がると一番上にあった扉の奥へと抜けていった。それでもなお、ジータはその小動物を追いかけることを諦めなかった。部屋へと続く戸口まで来るとゆっくりと深呼吸し、扉の向こう側へと歩みを進めていったのである。

まず気づいたのは、それが鉄格子だということだった。それはジータの周りとぐるりと取り囲んでいた。閉じ込められたということなのだろうか。慌てて周囲を見回してはみたが、入ってきたはずの扉は今やどこにも見当たらなかった。陥った状況を知るにつれて、どうやらそこが刑務所の独房ではないことは分かった。それは動物の檻だったのだ。

更に思いも寄らなかったことに気づき、ジータは表情を曇らせた。扉を抜けたときとは全く違う衣服を着込んでいたのだ。他ならぬ派手な黒色のスーツジャケットに、何の変哲もない白色のストッキング、首にはチョーカー、そして両手を伸ばすと頭の上には黒色のシルクハットを収まり悪く被っていた。「マジックね。」とジータは放心したまま自答した。

鉄格子越しに見えるのは、白い壁しかなかった。そして見上げようと首を伸ばしたとき、驚きのあまりジータは倒れ込みそうになった。キラキラと輝く丸い紅瞳がジータを見下ろしていた、それは追いかけてきたはずの白兎だった。だが、それは「不思議の国のアリス」で「私を飲んで!」と書かれた瓶を飲み干したかのように途方もなく大きなものに見えた。
白兎の巨躯は、それだけで充分に恐怖させるものであったが、次に起きたことには何の心構えもしていなかった。唐突に、白兎は語り始めたのだ。

それはなまめかしい女性の声だった。「バジルさん、私のマインドパレスへようこそ。」

「さては、ミスティ・ハンナね。」ジータは持ち得る虚勢をかき集めてそう応じた。敢えて言っておくと、それは前々から言ってみたかった言葉だった。「これが全部まやかしではないと思い込むとでも?」

兎とは笑えないものだが、この白兎は違った。「それでは、どうやったと?」

「兎は幻覚を見せるものだからよ。」そういってジータはこめかみにそっと手を当てた。

「おっしゃることは分かりました。」感情の起伏を感じさせぬ冷淡な口調で白兎は応じた。「これを幻覚と言うのであれば、私も貴方も同じ幻覚を見ているということになりますね。ですが、良きにせよ悪しきにせよ、貴方はエキゾチックマターに深入りし過ぎたようですね。もう止めることもできないでしょう。私にとってみれば、もはやありふれた火曜日といったところですけどね。」

「今日は木曜よ」

白兎は拍子抜けしたかのようにジータを見つめると「もう少し外にも出なきゃならないわね。」と言った。

「ミスティ・ハンナなら、私がここへ来た理由はご存知のはずよ。分からないのは、貴方って本当は兎だったのかしら?」

「ほら、貴方にはもうお分かりね。」ミスティは冗談半分に応じた。「不条理には毒を以て毒を制すのが最善よ。でもそうね、貴方がここにいる理由は存じています。ジェイ・フィリップスとエゼキエル・カルビンが亡くなったのね。それで、私が無関係であることを貴方が確認に来たというところね。」

「そういうことになりますね。」ジータは頷いて肯定してみせた。

「カルビン博士は私を生い立ちから知る人物でした。私にとっては2人目の父親のような方です。どうして私が殺すというのでしょう?」
「貴方の経歴には目を通しています。幼い貴方を政府機関のモルモットにした男を父親ですって?」

ジータの反論に白兎の姿形をしたミスティの鼻はぴくぴくと引き攣らせた。「エックスエムが私に力を与えてくれましたが、私には到底理解の及ばぬものだったでしょう。カルビンの手助けがなければ、今頃私がどうなっていたか考えただけでも身震いするというものです。精神病院入りしているかしら、火炙りにされてるかしら、そんなものでは済んでいないかもしれないわね。」

「まるでストックホルム症候群ね。それでナイアンティック計画が行われたのね。」ジータは腕組みして言った。

「それについてはどうお考えかしら?」

「啓示の夜が起きた後、記録によると貴方と数名の研究員が国家情報局に拘束されて囚人として扱われたことになってるわ。」

注釈:この世界の研究員は啓示の夜が起きてしばらくは閉じ込められていたようだ。

「私が囚人と言ったことなんてないけれどね。」とミスティは頑なにそこは否定した。

「意に反する拘束を受けたということですね。それでも貴方ははっきりさせようとした。国家情報局は人として考えていないということ、実験の道具として考えていたことをね。」

「何をおっしゃってるのか分からないわ。その場に居たわけでもないでしょうに。」ミスティはそう冷たく言い放った。

そこでジータは譲歩の姿勢を垣間見せた。「ねぇ、最初からやり直せないかしら?出逢いは悪い刑事だったかもしれないけど、真相を知りたいだけなの。カルビン氏を殺害した犯人を捕まえたいなら、私たちは協力し合えるんじゃないかしら。」

「続けてちょうだい。」巨大な白兎は渇き切った声色で言った。

「ちなみに大ファンなの。」ジータは本心からそう言った。「ねぇ、これってどうにかならないかしら?」そういって兎の檻を指差す。「ミスティ・ハンナと出逢えるなら、少なくとも顔を見て話を交わせるものと思っていたのよ。」

巨大な白兎は鼻を小刻みに動かすと、唐突にダークブラウン色の可愛らしい舞台衣装に身を包んだ女性の姿へと変貌した。
それは兎の檻に入れられたときまでジータ自身が着ていた衣装だった。兎の檻と言えば、既に鉄格子は消え去っていたが、ミスティは変わらず目の前に立ちはだかっていた。少し後ろへ跳び下がると、まるで彫像のようなマジシャンがようやく見えるようになった。そしてジータは鋭く息を吸ったのだ。「私って今、兎になってないかしら。」

「ええ、そうね。」ミスティは微笑むと「可愛らしいわよ。」と言った。

ジータはそこではっきりさせようとはしなかった。「文句はないわ。」

近くの椅子へ跳び乗ると、可愛らしさを誤魔化そうと努めて厳格さを装った。「27日の夜はどこにおられましたか?」

「フィリップスとカルビンが殺害された夜のことね?」ミスティは少し考えて次のように答えた。「ここにいたわ、このマインドパレスにね。」

注釈:マインドパレスに関しては「リモート・パーティシペーション・エクスペリエンス」を参照

「ああ、そうね、報告書に奇妙なことを書かなきゃならなくなるわ。マインドパレスっていったい何なの?」

「私だけの時間へ赴くようなものね。私に行けるところへのハブにもなるのだけれど、まあ大抵の場所には行けるわね。」

「それって、貴方にできることなの?それともエックスエムによるマジックなのかしら?」

「私の力でもあるし、エックスエムの力でもあるわね、両方よ。」とミスティは言った。

「分かったわ、それで殺害時にはマインドパレスにいたというわけね。誰か一緒には居なかったのかしら?」ジータは疑うような声音で言った。

「このマインドパレスで?あり得そうにないことね。」

ジータは肩を竦めるより他なかった。「要するに、ここがどうなってるのか分からないってことよ。私はここにいるのよね?あなたならこの場所での愉しい過ごし方も知ってるんでしょうけど、それなら入場料を取れるわよ。」

「イベントプランナーが必要になったら、相談させてもらうわ。」

兎のジータはその輝く丸い黒瞳を細めた。「どこにでも行けるというなら、何かしら教えてもらえないかしら。」
「おっしゃってることがよく分からないわ。」

「何か教えてよ。」とジータは繰り返し求め続けた。「この事件には関わっていないと言うし、信じたいのは山々よ。でも、それを証明してもらわなきゃ。」

ミスティはゆっくりと息を吐いた。「ええ、そうね。でもそのためには貴方を数分ほどこの場に残していかねばならないの。」

「どこにも行けやしないわよ。」

ミスティは念を押して言った。「何も触れてはなりませんよ。あと、閉じた扉の向こう側へは決して立ち入らないようにしてください。」

ミスティは眉をひそめた。「お分かりでしょうけど。」そうして指を鳴らすと、ジータは先ほどより更に小さくなった姿で檻の中へ再び戻されていた。「ご安心ください、貴方のことを思っての配慮です。」

これにはジータも抗議した。「何か起きたらどうするのよ。」と。だが、煌めく回廊が宙より唐突に現れるや、ミスティはその向こう側へと歩み進んでいった。その門もミスティが通り過ぎるとともに閉じ、ジータは独りで思案にふけるしかなくなったのである。

鉄格子の隙間を確かめてはみたが、都合よくすり抜けられるようなこともなかった。

だが、ミスティが姿を消して30秒ほどが経過したとき、かの奇術師は再び姿を現したのだ。だが、その瞳は狂おしいほどに見開かれ、疲れ果てた姿となっていた。「ああ、なんてことなの。」それはまるで亡霊に出くわしたかのようであった。

「どうしたっていうの?」それにはジータも問いたださずにはいられなかった。

「なんてことなの・・・」そう言って王座のような椅子へとミスティは倒れ込んでしまった。

「私はそこにいたの、まるで身動きが取れなくなったかのようだったの。リージョン・ディー、ダルサナ・コンバインよ!」

注釈:リージョン・ディー、ダルサナ・コンバインに関しては「ネメシス・ノード」及び「28日間のイングレッション」を参照。

「何のことよ、いったい何のことなの?」

「なんてこと、これは大ごとよ、カルビンやフィリップスよりも。」

ミスティはジータへ鋭く目を向けると言った。「もう行った方がいいでしょうね。」
ミスティが指を鳴らすと、あっという間にジータはマジック・キャッスルのスツールに戻されていた。驚いたバーテンダーはジータを見つめ、茫然としたまま口を開けていた。

いっときは困惑したジータだったが、なんとか持ち直した。「さあ、ここはマジック・キャッスルなのよ。今までにないような不思議なこともあるわ。」

帰ろうと立ち上がったジータだったが、バーテンダーの腕を掴むとこう言った。「私は兎なんかじゃないと言ってちょうだい。」

「申し訳ございません、なんと?」

「兎よ、兎。私は兎なんかじゃないと、貴方に言って欲しいのよ。」

「ご婦人、貴方様は兎ではございません。」

「よろしい!」思いのほか大きな声で叫んでしまっていた。「よし、いいわ。」バーテンダーをまっすぐ見据えると、ジータは言った。「ミスティ・ハンナを見かけたら、ジータ・バジルにはまだ訊ねたいことがある、と伝えてもらえるかしら。」

バーテンダーがゆっくり頷き返すと、ジータはフロントへと駆け出していった。

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Transcript
NIA
DO NOT DIGITIZE
1968 PROTOCOL
APPROVED DO NOT DUPLICATE


MEMO FOR: Acting Director Kendra Owen

Director Owen,

As you know, we have in the past come across artistic work that has pursorted to be "fiction," In few contains actionable, real-world intelligence on matters relating to Exotic Matter, sometimes even presention narrative of true events that have yet to take place. One of our sources sent us the attached except from a galley proof of an upcoming novella called M.A.N.I.A, unnervingly enough, is an acronym for "Murder at the N.I.A." In the novella, the murder victims in question appear to be Ezekiel Calvin and Jay Phillips.

As both of those individuals are still alive as of the filing of this report, there are a few different potential interpretations of this. One interpretation is that Calvin and Phillips will die in a bomb attack sometime in our future. But based on context clues from the novella, our analysts blieve that this is not a vision of the future cut a vision of the past from a different, parallel Earth.

It is now known in Intelligence circles that our universe (or Node) is just one cog in a multiverse of limitless others. For the sake of specificity, we have designated our's as the Osiris Node. Our nearest parallel Earth neighbor, the universe outside of our own that we have interacted with the most, we've been calling 1218 Node. Well, it appears that the events depicted in this novella may have taken place on 1218 Earth in the year 2017. We are working on acquiring a full copy of the book, to find out what additional intel it may provide us.

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[CHAPTER]

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It had been a horrowing traffic day in Los Angeles, but no more harrowing than any other day in the City of Angels. Finally, after what had felt like hours of gridlock, Zita's rental car was inching its way along Franklin Avenue. As she maneuvered the car up a steep driveway, she smiled reflexively as she took in the familiar chateau looming above here; As long as this case was forcing her to endure L.A. traffic, it might as well be to get to her favorite place in Hollywood. Still... when Central Omnilytics had assigned her to investigate the deaths of Ezekiel Calvin and Jay Phillips, the Magic Castle was the last place Zita thought the investigation would take her.

Zita was a sight to behold as she emerged from her vehicle, dressed to the nines, as the Castle' strict dress code required. She handed off her keys to the nearest valet and took a moment to take in the majesty of the place before slipping through the double doors into the Castle's entry hall.a

"Zita Basir," she said to the woman at the front desk, all business, "Here to see Misty Hannah."

Misty Hannah: See "Project Waratah" & the "Niantic Project"

"Yes, of course, Ms. Basir," said the cherry redhead. "You know the way."

Zita strode over to what was, to all appearances, a book shelf, leveling her gaze at a gilded, carved owl with blinking red eyes. "Open sesame," she said to the owl, without a hint of irony. Moments later, the fake wall panel slid open. Zita gave a perfunctory nod to the suit of armor beyond the threshoid, before striding past into the Grand Salun.

The decor of the Magic Castle had always been an eclectic mix, owing to many of the fixtures kaving been donated by the exclusive club's famous members. The Castle is one of the pre-eminent magic venues in all the world, open only to the rarefied magicians who hold memberships, and their personal guests.

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As a magic aficionado, Zita was certainly familiar with Misty Hannah, though Zita had never met the elusive sleight-of-hand artist, or seen her perform in person. Zita would have been lying if she'd said she hadn't gotten a slight thrill when she'd received the handwritten card from Misty, instructing Zita to meet her in Invisible Irma's Room at the Magic Castle. It was theatrical in exactly the way Zita would have expected from the great Misty Hannah. Investigating her as part of an open murder investigation were not exactly the circumstances Zita would have preferred for meeting one of here all-time idols, but - at the same time, - Zita wasn't about to look a gift horse in the mouth.

In her visits to the Castle, Zita had spent more than her share of time in Invisible Irma's Room, which was tucked away just behind the Grand Salon Bar. The story went that Irma was the ghost of a servant who had worked at the castle back in the days when it had been a private residence. In death as in life, Irma was an accomplished piano player, and, evidently, shuffling off her mortal coil was not going to be enough to deter Irma from her penchant for tickling the ivories. Near any song you could think to request, Irma was prepared to play for the Castle's guests - even tunes that were penned long after Irma's death.

Zita slipped a fiver into the canary cage to the right of the grand piano, and said into thin air: "Irma, can you play 'Misty' for me?" No sooner had Zita settled into a nearby loveseat did the piano begin playing the old jazz standard, seemingly on its own. Zita smiled again; Misty's note had indicated that Zita was to make this request of Irma when she arrived. Evidently, the veteran performer was not without a sense of humor.

It had seemed a strange coincidence to Zita that one of her favarite magicians had also been one of the Niantic Project Researchers. Then again, if everything Zita was learning about XM was true, maybe*there was no such thing as coincidence.

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With no sign of Misty yet, Zita shifted to a barstool and ordered an Old Fashioned. She downed a sip, and swung around in her stool to stare absently at the plinking piano keys. Moments later, Zita began to feel lightheaded. Her vision blurred, and the stray thought crossed her mind that the bartender may have put someting in her drink.

Zita looked around in disbelief; the Magic Castle was a castle in name only, but where Zita found herself now could only be described as a palace. Of course, Zita didn't actually believe that she had somehow spontaneously translocated; Someone must have put some kind of psychedelic in her drink. It was the only explanation.4

translocated: See "Hyperthreading / Telepotaling"

Still. it felt real enough to Zita in the moment, so she tentatively got to her feet and 6egan exploring her new surroundings. If this place really was just a construct of her own drug-addled mind, she had to give herself props: This palace looked like it had been designed by M.C. Escher. Impossible strairways led to doorways on what, from Zita's vantage point, should have been the ceiling.

Zita glanced to her left and spotted - of all things - a little white rabbit, hopping playfully towards a set of stairs that stretched upward at a 45 degree angle.

"You've got to be kiddding me," Zita murmured under her breath. The smirk on her lips betrayed that she was not nealy as freaked out in this moment as she perhaps ought to have been. She was just digging the Lewis Carroll vibes of the situation.

Lewis Carroll: Carroll is on our list of potentically Sensitive artists

The bunny leapt onto the first stair. The laws of physics should have ensured that the bunny crash back down to terra firma. But the laws of physics didn't seem to apply here.

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The little rabbit continued ascending the impractical staircase, in no particular hurry, so Zita tentatively approached. She paused before the first step, unsure. There's no way this is going to work, Zita thought to herself. I'm crazy for even trying. But moments later, Zita threw caution to the wind and took a tenuous step onto the staircase. Zita should have immediately fallen on her posterior... but instead, as soon as she set foot on the first step, it was if gravity shifted. Zita shook her head; She couldn't remember the last time she'd tripped like this. Correction; Zita had never in her life tripped like this.

The little rabbit - reelizing it was being pursued - picked up the pase, scampering up the rest of the steps and through a doorway at the apex. Zita followed the small creature as fast as she dared. At the threshold to the next room, Zita took a deep breath... then stepped through the doorway.

The first thing Zita noticed were the bars. All around her. Was she a prisoner now? In a panic, she turned back to see that the door through which she'd entered was now nowhere to be found. As she got her bearings a bit, Zita realized that where she found herself now was not a prison cell... it was an animal's cage.

Zita looked down to another unexpected surprise; She was wearing an entirely different outfit than when she stepped through the door. She was now sporting a flashy, black suit jacket and... not much else. White stockings that left little to the imagination. Some kind of choker tied around her neck. And as she reached her hands up, she found a black top hat balanced precariously on her head. "Magic..." Zita said to herself, absently.

Beyond the bars of the case, all Zita could see was a wall of white fer. As she craned her neck upward, she nearly fell down in shock. Looking down at her with red, beady eyes was the rabbit she'd been pursuing. But now it loomed so large it looked as if it had consumed out of those "Alice in Wonderland"'drink me'

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potions. The size of the rabbit would have been alarming enough on its own, but nothing prepared Zita for what would happen next. All of a sudden... the rabbit spoke.

"Ms. Basir," the rabbit's sultry female voice entreated. "Welcome to my mind palace."

"Misty Hannah, I presume," Zita said, with as much confidence as she could muster. To be fair, Zita had always wanted to say that. "So, you're expecting me to believe that this is all real?"

Rabbits can't smile, but it looked like this one did. "What's the alternative?"

"Rabbits elaborate hallucination," Zita said, deflated, putting a hand to her temple.

"I got your message," the rabbit said to Zita, matter-of-factly. "If this is a hallucination, we're having the same one. But, hey, for better or worse, you poke around Exotic Matter long enough, things like this stop seeming impossible. For me, this is just Tuesday."

"Today's Thursday," Zita corrected her.

The rabbit stared at her blankly. "I need to get out more."

"If you really Misty Hannnah, you already know why I'm here," Zita began. "I guess my first puestion for you is: Are you now, or have you ever been... a rabbit?"

"There, see, you're getting it," Misty shot back, playfully. "When staring down the barrel of the absurd, best to fight fire with fire. But, yes, I do know why you're here. Jay Phillips and Ezekiel Calvin are dead. And it's your job to make sure I didn't have anything to do with it."

Zita nodded. "That's about the size of it."

"I've known Dr. Calvin my entire lite," Misty said. "He was like a second father to me. Why would I kiil him?"

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"I've read your file," Zita countered. "Calvin turned you into a government guinea pig when you were a little girl. What kind of father does that?"

Misty's furry nose twitched. "XM gave me powers that I couldn't possibly understand. Without Calvin's guidance, I shudder to think where I would've ended up. A mental institution? Burnod at the stake? Worse?"

"Sounds like Stockholm Syndrome to me." Zita crossed her arms. "And then there was the Niantic Project."

"What about it?"

"After Epiphany Night, the records say that you and some of the other researchers on the project were... kept prisoner there by the NIA."

kept prisoner: Apparently, on their world, the researchers were kept on lockdown for a period after Ephiphany Night.

"I never used the word 'prisoner,'" Misty equivocated.

"Held against your will, then. However you wanna parse it. The NIA didn't think of you as a person, Misty; They thought of you as a test subject."

"You don't know what you're talking about," Misty said quietly. "You weren't there."

Zita took a step back. "Hey, can we maybe start over? I launched straight into 'bad cop,' but I'm really just trying to get to the truth. If you want to catch whoever killed Calvin as much as I do, then maybe we can help each other."

"I'm all ears," The giant rabbit said, dryly.

"Big fan, by the way," Zita said genuinely. "Hey, could we... do something about this situation?" 5he gestured to the rabbit cage. "I was kind of hoping when I met the Misty Hannah that I'd at least get to talk to her face-to-face."

The giant rabbit wiggled her nose, and suddenly, she became a real girl; A pretty brunette, wearing the stage outfit that Zita had

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found herself in when she entered the rabbit cage. Speaking of the cage, the bars were gone now, but Misty Hannah was still towering over Zita. Zita took a little hop backwards to get a better view of the statuesque magician. Then she inhaled sharply: "i'm a bunny now, aren't I?"

"You are," Misty smiled. "And you're adorable."

Zita let that hang in the air for a moment. "Fair enough."

Zita hopped up on a nearby chair and endeavored to look stern, to offset the cuteness factor of her current predicament. "Where were you the night of the 27th?"

"That's the night Phillips and Calvin were killed?" Misty thought for a moment. "I was here.. In my Mind Palace."

Mind Palace: See "Remote Participation Experiences"

"Yeah, see, that's gonna read strange in my report," Zita countered. "What the hell is a 'mind palace'?"

"I guess it's kind of where I go for 'me time.' It's also a hub from which I can go... well, almost an7where."

"Is this just... a thing you can do? Or is it more XM magic?"

"A little from column A, a little from column B," Misty explained.

"All right, so - at the time of these murders - you were in your Mind Palace," Zita said, with a tinge of incredulity. "Don't suppose anyone was here with you?"

"In my Mind Palace?" Misty asked. "Not likely."

Zita shrugged. "I mean, I don't know how this works. I'm here, right? Maybe you know throw raging parties up in this place. You could charge for something like that."

"If I ever need an event planner, I'll let you know."

Rab6it Zita narrowed her beady black eyes. "You said you can go anywhere from here? How about throwing me a bone."

-

"Not sure I follow."

"Give me something," Zita continued. "You say you weren't involved in this. I want to believe you. But you gotta give me something."

Misty exhaled slowly. "Yeah, okay. I'm going to have to leave you here for a few minutes."

"I've got nowhere to be."

Misty loomed over Zita to drive this next bit home. "Don't touck anything. And don't go through any doors that are closed."

Misty frowned. "Actually, you know what--" Misty snapped her finger, and Zita was found herself in a cage again, but smaller this time. "Trust me, it's for your own safety."

Zita started to protest. "But what if something bad happens to--?" But, suddenly, a shimmering gateway appeared out of thin air, and Misty stepped through. The gateway closed behind her, leaving Zita alone with her thoughts.

"Zita Basir died as she lived," Zita murmured to herself. "Trapped in bunny cage in Misty Hannah's Mind Palace."

Zita proceeded to test the bars to see if she could slip through. No such luck.

But about 30 seconds after Misty had vanished, the illusionist reappeard, Wild-eyed and frazzled. "Oh my God..." It looked like Misty had seen a ghost.

"What?" Zita demanded.

"Oh my God..." Misty collapsed into a throne-like chair. "I was there. And for a moment... it felt like I was stuck there. Region D. The Darsana Combine."

Region D. The Darsana Combine: See "Nemesis Node" $ "28 Days Ingression"

"The what and the what?"

"My God. This is bigger than us. It's bigger than Calvin and Phillips." Misty looked pointedly at Zita. "You have to go now."

-

Misty snapped her fingar, and like that, Zita was back on her stool at the Magic Castle. A startled bartender just stared at her, his jaw on the floor.

Zita was momentarily disoriented, but managed to snap herself out of it. "Come on, this is the Magic Castle, you're seen weirder things than this before."

Zita stood up to leave, but then she grabbed the bartender by the arm. "Please tell me I'm not a bunny right now."

"I'm... sorry?"

"A bunny rabbit. I need you to tell me I'm not one."

"You're not a rabbit, ma'am."

"Okay!" Zita shouted, louder than she'd intended to. "Okey." She looked the bartender straight in the eye. "If you see Misty Hannah around here, tell her Zita Basir still has some questions for her."

The bartender nodded slowly. And Zita stormed out the front.

 

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