ダンレイブン財団:アマルガム(1)

イングレス
2019/01/07 12:12:11
現行のケース・スタディをとりまとめました。3分の1が完了し、残るは3分の2は2019年01月28日に開始されます。更なる分析が必要です。

訳注
この映像は2018年10月23日から同年12月31日までの2ヶ月間をかけて配信された11編の映像を再編集しひとつにまとめたもので、映像に再補正がかけられている箇所も見受けられる。公開当初は混合といった意味の「アマルガム」と題されていたが、後日改名されている。
ダンレイブン財団ケーススタディ・セッション001

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション001

(グリフをキー配置されたパッド)
(着信音、画面には慌てた様子の被験者ウェンディの監視映像)

ウェンディ:はい、そうです、これは、えっと、すみません、ダンレイブン調査ですか?これって自動応答ね。

(監視映像に映るウェンディがロサンゼルスのロヨラ・メリーマウント大学構内へ入っていく)

ウェンディ:ごめんなさい、被験者です。1時にお約束してたんですが、数分ほど遅れてしまいそうで、走っているところです。猫が針を飲み込んでしまってそれで、いえ、向かっているところです。10分で到着しますから、ごめんなさい、向かってます。

(屋内に入ってきたウェンディの監視映像)

ウェンディ:こんにちは。
ジェイ・リッチ:ちょっと、ごめんなさい、少し席を外してたの。そこのコンピュータで登録できるかしら。カメラに顔を映して自らの意思で研究に協力することを誓約してちょうだい。
ウェンディ:ええ、わかったわ。
ジェイ・リッチ:口に出して言ってね。
ウェンディ:私は自らの意思でこの研究に従事することをここに誓約するわ。
ジェイ・リッチ:いいわ、いいわ。えっと、ちょっとだけ簡単な質問させてもらうわよ。
ウェンディ:いいわ。
ジェイ・リッチ:歳はいくつなの?
ウェンディ:23歳。
ジェイ・リッチ:専攻してるのは?
ウェンディ:心理学よ。
ジェイ・リッチ:好きな色は?
ウェンディ:うーん。
ジェイ・リッチ:母親の旧姓は?
ウェンディ:カヴァッロ。
ジェイ・リッチ:初めての車のブランドと車種は?
ウェンディ:ホンダのシビック。
ジェイ・リッチ:交際状況は?
ウェンディ:えっと、独身だけど。
ジェイ・リッチ:ここに来たのはどうして?
ウェンディ:ワトキン教授がこのチラシをくれたのよ、彼に聞いたの。
ジェイ・リッチ:事実とは思えないわね。何をしてるの?
ウェンディ:私は院生よ。
ジェイ・リッチ:嘘ね。
ウェンディ:嘘なんて言ってないわ、私はただ...そんなことを言って私に何をさせたいのかしら。

(ノイズが入る)

ウェンディ:わかったわ。限界を超える難題を解くのが私は好きみたいね。
ジェイ・リッチ:素晴らしい、いいわ、部屋の準備はできています。入って結構よ。

(別の室内に入るウェンディ)

ウェンディ:こんにちは。

(背後の扉が閉まる)

ウェンディ:よーし、誰かいるのかしら。

(室内を歩くウェンディ。数多くの画面が静止画を映し出している。そのひとつにはエイダがクルーとの融合に用いたと同じグリフシーケンスが表示される。そして唐突に別の画面が動作する。)

シャポー:私はP.A. シャポー。全人類に影響を及ぼす陰謀の告発に慌ただしかった6か月前に言われていれば、君のことを信じる気にはならなかっただろう。君に伝えねばならないことは数多くあるが、今は簡潔に伝えよう。イングレスはゲームなんかじゃない。周囲の世界は見えるがままではないんだ。誰も君に問おうとは思っていないが、敢えて問おう。ナイアンティック・プロジェクトで何が起きたのだろうか。

(画面上のシャポーが何かに気を取られ、次の瞬間画面はノイズに包まれる。)

ウェンディ:もう始まってるの?

プロジェクト・ダンレイブン#001 / 被験者研修

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション002

シャポー:ナイアンティック計画で何が起きたのだろうか...
ウェンディ:始まったの?ねえ?これはどんな研究なの?
ジェイ・リッチ:申し訳ありません、誤った映像でしたね。さて始めましょう。こちらであなたの疑問にお答えできることでしょう。

(映像開始)

シャポー:少し前のことになるが、国家情報局というエセ科学分野に取り組む合衆国諜報機関が最近特定されたエキゾチックマター若しくはエックスエムという量子現象の研究にシンクタンクを設置した。そいつはナイアンティック・プロジェクトと呼ばれていたが、まずいことになった。今ではイングレスと呼ばれているエックスエムを検出し活用できるスキャナーがそこで生み出されたわけだが、このエックスエム・スキャナーが外部に漏洩され拡散してしまった。そこでことを隠蔽するためにイングレスというゲームに仕立てたんだ。
ウェンディ:イングレスが隠蔽工作だというの?
シャポー:二人の研究員、デヴラ・ボグダノヴィッチとローランド・ジャービスは逃亡を試みたが国家情報局の保安部隊にチューリッヒで追い詰められた。発砲が行われ、死者が出た。
ウェンディ:今度は死者なのね。本当に死んだの?何を研究しているのかよくわからないわ。私に何をさせようというの?申し訳ないけれど、これはゲームに関する研究なのかしら。それともゲームの暴力表現を現実と考えてしまったらどうなるのかを研究しているのかしら。まあ、悪くはないけどね。

(画面に文字が表示される)
ハンク・ジョンソンは ...[死ぬ]
ハンク・ジョンソンは...[生きる]

(別の画面に文字が表示される)
誰が助くのか
誰が救うのか
誰が制すのか
誰が連なるのか

(別の画面に文字が表示される)
ハンク・ジョンソンなのか?

ウェンディ:ジョンソンって誰なの?何なのかしら、ハンク・ジョンソンを助けなきゃならないの?

(ウェンディの手元から音楽が流れ、スマートフォンへ視線を下ろすとイングレスプライム・スキャナーが起動開始している)

ウェンディ:私のスマートフォンに入れたの?
機械音声:今週の謝金を口座へお振込みしました。
ウェンディ:えっと、終わったのかしら?

(ウェンディが椅子から立ち上がり、スマートフォンを確認する)

ウェンディ:あぁ、金額が間違ってるんじゃないかしら。どうやって私の口座を知ったかはわからないけど、桁を間違ってるわ。
機械音声:いいえ、適正な額です。来週もお逢いできますか?
ウェンディ:ええ、そうね、そのつもり、来るつもりよ。

(ノイズが入る)

ウェンディ:ところで、私は、あなたと逢えるのかしら?

(応答はなく、ウェンディは扉の向こうへ去る)

[プロジェクト・ダンレイブン#002 / 被験者生体認証]
[状況:継続中]

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ003
機械音声:ようこそ、ウェンディ。
ウェンディ:あら、あなたに珈琲を持ってきたのよ。

ウェンディが珈琲を手に室内に入ってくる。
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機械音声:私は...珈琲を飲みませんが、その心遣いは嬉しいですね。ありがとう。

部屋の扉が閉まる。

ウェンディ:誰か飲む人はいないの?あなた以外に誰か欲しい人は...
機械音声:珈琲をいただくにはオブザベーション・チェンバーへ入らなければなりませんが、今はできないのです。
ウェンディ:オブザベーション・チェンバーって、なんか格好いいわね。

ウェンディが椅子に腰をおろす。

ウェンディ:それで、今日は何をするの?
機械音声:歴史上の重要な転機が真実を誤魔化すために変容させられている可能性があると思いますか?

ウェンディは椅子の左手にあるテーブルに珈琲を置く。珈琲の蓋に描かれているのは「リピート」だろうか。
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ウェンディ:そうね、日曜学校で聞く話は嘘だと思うわ。イエスはマグダラのマリアとの間に子を成していてその子孫は今もこの世界のどこかにいるんじゃないかしら。
機械音声:面白いわ、ウェンディ。でもそれは「ダ・ヴィンチ・コード」ね。良い例だわ、秘密を誤魔化すために生み出された神話というものよ。
ウェンディ:好きな作品なの。でも、世界のありとあらゆる物事がというのは大袈裟じゃない?
機械音声:そうかもしれませんね。左にあるリモコンをご覧ください。
ウェンディ:この記号は何な?
機械音声:直感をテストするものです。
ウェンディ:もっと複雑なものの方が好みだけどね。
機械音声:押してみてください。

ウェンディが「アンバウンデッド」「ナジア」のグリフボタンを押すと映像が再生される。そこには山岳地帯に佇む男の姿があった。映像のテロップに「ハンク・ジョンソン(考古学者 / ノマド主催者)」と表示されている。
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ハンク・ジョンソン:どうして我々は特定の場所に魅入られるのか、その科学的解明はまだ始まったばかりだ。いまのところ有力なのは、その場所にはポータルがあるという仮説である。
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ハンク・ジョンソン:これはエックスエムとも呼ばれる未知の量子物質エネルギーであるエキゾチックマターの放出源だ。
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ハンク・ジョンソン:エキゾチックマターにはシグナルが含まれているとの裏づけもある。有史以来、人類へ影響を及ぼしてきたシグナルだ。
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ハンク・ジョンソン:さて、裏づけについてだが、それはプライム・アーティファクト、エックスエムの充填された謎のオブジェクトだ。
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ハンク・ジョンソン:アレキサンダー大王大東征の目的も、本当はこのアーティファクト捜索にあったとしたら、どうだろうか。
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ハンク・ジョンソン:マケドニアのアレキサンダーは歴史上最も成功した軍事的指導者のひとりだが、真の目的は21片から成るプライム・アーティファクトの発見にあったと考える研究者もいる。不死に至る鍵とされるそれをね。

映像が終了する。

ウェンディ:それで、これがハンク・ジョンソンさん?

ウェンディの携帯端末に着信音が鳴る。

機械音声:本日はここまでです、ウェンディさん。
ウェンディ:あら、そう。ありがとう、入金してくれたのね。

ウェンディが扉へ向かう。

ウェンディ:扉が開かないわ...

部屋の電源が落ちる。

ウェンディ:灯りが消えたわ、冗談じゃない、閉じ込められるなんてごめんよ!お願い、扉を開けて!

ウェンディが扉を激しく叩く。

ウェンディ:勘弁してよ!お願い、お願いよ!

電源が復旧し、照明が再点灯する。

機械音声:あ、ご、ごめんなさい。一時的にシステム障害が起きてしまいました。あなたの血圧と脈拍もまもなく正常値へ戻るでしょう、申し訳ありません。
ウェンディ:ふぅ...
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション004
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション004
機械音声:何を書いているのですか、ウェンディ?

機械音声の問いかけに、室内でいつもの椅子に腰かけたウェンディが左に目線を向けながらそれに応じた。
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ウェンディ:ああ、このやりとりを書き留めておこうと思って。

その手元に手書きの覚書がノートに書き記されていることを室内カメラが捉えている。
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ウェンディ:ちょっと見て、馬鹿げた映像を見せて、私はそれを訊ねたわよね、あなたは大袈裟に、困惑させるようなことを返してきた。ここへ来てからというものどんどんわからなくなってる。扉を施錠しないのは...

ウェンディの指摘に反応するように扉の施錠音が室内に響く。

ウェンディ:未来の考古学者に私の骨を発見させるためね。ああ、報酬額は悪くない。とってもわかりやすいわ。
機械音声:本プロジェクトに単純なことはありません。
ウェンディ:私が二度とこなかったら、酷く怒られちゃうってこと?
機械音声:そうしたいのですか?

ウェンディはその問いかけには無言で返す。

機械音声:好きなだけグリフを押して、モニターを見てください。

ウェンディが椅子の左手にあるキーボードに上半身を回し、右手を伸ばして「ディフェンド」「トゥルース」のグリフボタンを押すと、モニターに映像が再生開始される。
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国家情報局のロゴとともに「ナイアンティック計画、内部使用限定、不正な再配布は法により罰せられる可能性がある」と表示され、ナイアンティックのロゴが続き、オリバー・リントン=ウルフの姿が表示される。
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オリバー:私はオリバー・リントン=ウルフ博士、ナイアンティック計画において技術研究主任を務め、イングレス・スキャナーを開発した...

そこでモニターの映像は途切れて場面が切り替わり、ポータルとして緑色や青色の光を立ち昇らせる構造物が次々に表示されていく。
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男性の声:エキゾチックマターは決して無作為なものではない。その内にはシグナル・オーダーデータとしか言いようのないものがあり、エックスエムが何かしら外なる知性体から送り込まれている可能性が高いことを示唆している。

室内のウェンディの様子に切り替わり、ウェンディが疑問を口にする。

ウェンディ:エクソジェナスという言葉は初めて聞くわね。
機械音声:ここでない何処かです。

再び画面はポータルの映像へ切り替わる。
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男性の声:我々との交信手段はエックスエムだけに留まらない、異なる世界からのメッセージはグリフとして我々のもとへ送り込まれている。潜在意識へ直接語り掛ける普遍言語の類だ。グリフメッセージの中には人類の黎明期にまで遡るものもある。今では人類文明が急激に発展していった謎はグリフに隠されているのではないかと考えられている、破滅に導くものも送られてきているがね。

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画面は室内へ戻り、無数のモニターが表示される。
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機械音声:もうひとつ映像がありますが、気弱な方にはお勧めできませんね。
ウェンディ:落ち着かなくさせるものを見せるのね。

映像が開始されるとすぐに、洞穴に俯せに横たわる男の姿が映る。
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その男に近寄りライトが当てられると、衣服には血が付着していることがわかり、一目で遺体と思しき状況。
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撮影者が肩口に手をかけて仰向けにすると、血塗れの遺体の顔が映し出された。
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室内のウェンディは思わず椅子を立ち、扉の方へと後ずさりする。

ウェンディ:あれは何?ハンク・ジョンソンなの?本当のこと?
機械音声:あなたにはリカージョンを知ってもらわなくてはならなかったのです。

ウェンディは怯えた様子で返す。

ウェンディ:ほかの被験者を探した方がいいわ。私はここまでよ。

扉の前に立ったウェンディが振り向く。

ウェンディ:扉を閉めたままにしとくなら、新しい被験者を探すだけじゃなくて新しい部屋も必要になるわよ。

ウェンディが扉から部屋を出て、画面はブラックアウトする。その20秒後に再びテロップが表示される。

電話傍受 受信者ウェンディ 午後1時33分
場面は調査に使われていた部屋。モニターのにサークルが表示されている。手前の青いサークルはシャポーを名乗る男の声に、奥の赤いサークルはウェンディの声に反応するように揺らめく。
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シャポー:やあ。
ウェンディ:だれ?
シャポー:君は知らないだろうが、私の名はシャポーという。
ウェンディ:映像で...
シャポー:ああ、調査映像だね、聞きたまえ、君が関わっているダンレイブン・プロジェクトのことだ。
ウェンディ:いや、私は...そうね...でも...
シャポー:それで構わない。
ウェンディ:なんで知ってるの?
シャポー:君の知っていることを教えてほしい。
ウェンディ:知らないわ、あれが何なのかなんて知らない。
シャポー:いいかい、私は君の身に起きたことに答えることができるし、理解する手助けができる。だが、この回線で話すわけにはいかない。オースティンで直接逢いたいんだが。
ウェンディ:何ですって?授業もあるし、オースティンへ行くような余裕もないわ。
シャポー:問題ない、君の航空券もホテルも確保済みさ。
ウェンディ:どういうこと?
シャポー:荷物は少なめにしてくれ。そこで起きるアノマリーは興奮を伴うが、疲労もするからね。
ウェンディ:アノマリーって何なの?あなたは誰なのよ?
シャポー:ウェンディ、君にもいずれわかるさ。アノマリーは未来の方向性を決する場であって、向かう先を知る場だよ。運動靴にしておけ、直接顔を合わせよう。

電話傍受...終了...旅行経路変更
シャポー:香港
ジャービス:バルセロナ
ハンク:オースティン
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション005
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション005
テキサス州オースティンへ向かう途にある対象の電話傍受

航空機の音と思われる轟音の中でビープ音が鳴る。場面はサークルの表示されたモニターが一台。ウェンディの声が流れ始める。
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ウェンディ:ああ、ワトキンス教授、前の学期に認知神経学を受けたウェンディです。ちょっと、ご紹介いただいた調査についてお話したいのですが...えっと、ダンレイブン・プロジェクトでしたっけ。先生がその件をどの程度知っているかお聞きしたくて。もしご存知であれば、ちょっと...そうですね、お仕事中にお伺いします。えっと、それではまた。

再びビープ音が鳴り、別のモニターへ切り替わる。
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ウェンディ:ワトキンス教授、ウェンディです。えっとそれで、返信をいただけてなくて、ダンレイブンについてお話したいのです。ちょっと、あの調査のことが、本当によくわからなくて。常軌を逸した映像を観せられたんですけど、そうでもないように思え始めていて、というのも...。折返しお電話いただけないでしょうか、御手隙の折で構いませんから。私は、ウェンディです、えっと、それではまた。

ビープ音が鳴り、別のモニターへ切り替わる。
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ウェンディ:ああ、ワトキンス教授、ウェンディです。あなたからの折返しを待ってるんです。オースティン行きの機内にいるんですけど、それは、この調査のためです。ちょっと現実味を帯びてきていて、それでどう説明すればいいかわからないのですが、私は思うんです、引き込まれしまったって。それで、私は...どうすれば逃げれるかわからないんです。それで何かご存知じゃないかと思って、これに関わってる人たちをご存知ないかって。どんな人たちなんですか、何者なんですか。折返しお電話いただければと、ちょっと気掛かりで、お待ちしてるんです。聞き慣れた声とお顔を拝見できれば、別に私がおかしくなったわけじゃないって思えるんです。あのチラシを他の学生には配らないでください。あれはまともな調査じゃありませんし、ああ、すみません。そろそろ離陸みたいです。でも折返しのお電話はお願いします。これを聞いたらなるべく早くお電話ください。

ビープ音が鳴る。

声紋再現率:70%
訳注
この映像は2018年11月17日に行われた6周年記念ライブストリーム内で放映され、翌18日にユーチューブで公開された。
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション006

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション006
被験者「ウェンディ」がオースティン・アノマリーゾーンへ

航空機内、窓際の席に座るウェンディの姿が映し出される。
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国家情報局:現地諜報記録中...
機内モニター / 現地チーム / CCTV

続いて場面はリカージョンプライム・アノマリーの会場となったテキサス州オースティンの共和国広場に立つウェンディへと移る。右手に録音端末を持ちひとり語るウェンディの姿を遠方より監視したものだろうか、画面周辺部には円状のケラレが見られる。
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公園内をひとり歩きながら、ウェンディは録音を続けていく。

ウェンディ(記録音声):オーディオ・ダイアリー、録音番号1。ダンレイブンやイングレスといった私の身に起きた奇妙な出来事のことを記録しておく。今はアノマリーというものが起きているテキサス州のオースティンよ。ここには「イングレス」が単なるゲームじゃないと考えてる人たちが集まってる。表面上は競技を行っているように見えるわ。

録音の傍らでウェンディは様々なエージェントと交流の機会があったことが伺え、録音と現地でのやりとりが交互に流れていく。
ウェンディ:よろしく、ウェンディよ。はじめまして。
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ウェンディ:ごめんなさい、ちょっとオーディオ・ダイアリーを録音してて。
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ウェンディ(記録音声):
ナイアンティック計画って何かしら。二つの陣営があるの。エンライテンド、この緑色の人たちは素粒子エックスエムが辿るべき未来を示すものと考えてる。

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男性エージェント:エンライテンドは合衆国で強いね。
ウェンディ:オーストラリアでは?
男性エージェント:エンライテンドの方が強いね。

ウェンディ(記録音声):そしてレジスタンス、青色ね。彼等はそれを人類の脅威と考えてるみたい。

ウェンディ:それで、どうしてレジスタンスを選んだの?
男性エージェント:青が好きだからさ。
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ウェンディはその受け答えに声を出して笑った。

ウェンディ(記録音声):ストリートアートや彫像、歴史的に重要な石碑といった場所のポータル確保を彼等は競っているわ。旗取り合戦を市街地全域へ拡大したものね。

ウェンディ:それで、これからどうなるのかしら?
女性エージェント:戦いが続いていくのよ。
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ウェンディ(記録音声):シャポーがどうしてここに来させたのかは正直わからない。それに彼とも出逢えてはいないわ。

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男性エージェント:
デスクワークをしてるけど、君も知ってるとおりこいつは出て行くためのきっかけさ、誰かと出逢えるし...

ウェンディ(記録音声):誰もが本当に素敵だし快く招き入れてくれるけど、みんなが手助けしてくれようとしてくれるわ、まるで私のことを知ってるみたいにね。

ウェンディ:こんにちは、あの、以前どこかでお逢いしましたか?
女性エージェント:とってもよく知ってるわ!
ウェンディ:そうなの?

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ウェンディ(記録音声):
公園の周りでは国家情報局が私たちに目を光らせてる。監視され、記録されているの。彼等はプライムチャレンジと呼ばれるものにも係わっていたわ。特殊部隊員が私たちに肉体的課題を与えていくといったものよ。勝った方は国家情報局が何かを見つけ出す、失われたアーティファクトだったかしら、その手助けをするに相応しいと扱われていたわ。ええ、それが何なのかまだ知ろうとしてる。たぶんこのことを考えすぎてるだけね。実際のところは、わからないけど、愉しいのよ。

ウェンディ:そうね、理に適っているわね。私を導こうとしてる人たちが一体何をしているのか、さっぱりわからないわ。

ここでまた新たにウェンディへ話しかけてくるエージェントが現れる。別の監視者なのだろうか、先ほどまでの映像とは異なり、ここからオートフォーカス機能のあるカメラ越しの映像へと切り替わった。

眼鏡の男性エージェント:ウェンディさんですか?
ウェンディ:ええ、よろしく。
眼鏡の男性エージェント:よろしく、えっと...

そしてこのエージェントはウェンディへ懐から取り出した封筒を差し出す。
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眼鏡の男性エージェント:ある女性から大金をいただきまして、あなたにこれを渡してほしいと。
ウェンディ:本当に?

男がその封筒をウェンディへ手渡す瞬間、エイダと思しき揺らめきが二人のやりとりにオーバーラップする。男に封筒を渡すよう指示したのがエイダであるとの確証にはならないが、エイダがこの様子を監視していた可能性は非常に高いだろう。そしてここから場の緊張は一気に高まっていく。
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眼鏡の男性エージェント:の女性が言うには重要なことだと。
ウェンディ:そう、ありがとう。

怪訝そうに顔をしかめつつもウェンディはその封筒を開こうとすると、公園の周囲の黒眼鏡たちにも視点が動き始めた。
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ウェンディが封筒から取り出したのは通話端末、それを耳に装着すると音声が聞こえ始めた。
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シャポー(通話音声):ウェンディ、よく聴くんだ。あまり時間の猶予はない。
ウェンディ:えっと、こんにちは。
シャポー(通話音声):4番通りとグアダルーペ通りの交差点に白のフォード・フィエスタが停まっている。扉はあいていて、キーは車内だ。その車に乗ってもらいたい。私のもとまで来たら全てを説明しよう。
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ウェンディ:どこへ行くの?
シャポー(通話音声):奴等が君へ向かってきてるぞ、そこだ、奴等がわかるか?
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ウェンディ:なんてことなの。
シャポー(通話音声):ウェンディ、車に乗るんだ!
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ウェンディは追い立てられるようにその場から逃れ始める。その足取りは徐々に早まっていった。

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映像からなんとか公園から脱したと思われる。だが、その後に逃げ込んだのは指示された車ではなかった。逃走中の映像から指示された共和国公園の南東交差点ではなく北東交差点から一旦はグアダルーペ通りを北上しようとし、チェイス銀行の駐車場に入って裏に回ったことがわかる。

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そして非常階段らしき場所を上るウェンディ。追手がないか様子を伺いつつも、階段の先にある扉の奥へと入っていく。

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扉を閉めて安堵するウェンディだったが、入った室内の様子に驚く。そこは見慣れたモニターや椅子の設置されたチェンバーだった。

ウェンディ:どういうこと?

そして、室内の照明が点灯していった。
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機械音声:おかえりなさい、ウェンディ。

ダンレイブン・ケーススタディ・セッション006
精神リカージョン:実証実験継続中

訳注
プロジェクト・ダンレイブンのセッション005からの続きにあたる。映像は航空機内、テキサス州オースティンの公園、そしてチェンバー内へと場面が切り替わる。
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション007
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション007
オースティン・サテライトチェンバー

映像は前回のラストシーン、ウェンディが室内へと逃げ入る直前の監視映像から始まる。息を切らせながら扉を開け進み、室内を目にしたウェンディはそこが実験で使われていたチェンバーにそっくりな部屋であることにウェンディは気づく。

ウェンディ:どういうこと?

室内に紫色と赤色の灯りが点く。

機械音声:おかえりなさい、ウェンディ。
ウェンディ:ワームホールなのかしら、それともオブザベーション・チェンバーへテレポートでもして戻ってきただけかしら...

部屋の隅々を見渡し立ち尽くしながら考えを口にしていたウェンディに機械音声が割り込む。

機械音声:馬鹿げたことだと?オースティンに同じオブザベーション・チェンバーを用意したに過ぎません。
ウェンディ:そう...なんでそんなことを?
機械音声:あなたがここへやってくることを見越してのことです。
ウェンディ:そう、最後に話したときのことを覚えてるかは知らないけど、確か調査の場所にはこだわってたんじゃないの?
機械音声:調査とは理論的で概念的なものです。そこに拘ることはなく、どこでも構いません。
ウェンディ:どうでもいいわ、いいかげんにして!

ウェンディは部屋を出て行こうとするが、扉は施錠されたままでそれも叶わなず扉を叩く。

ウェンディ:ねぇ、話は付いたわよね!
機械音声:あなたを保護するため施錠されています。
ウェンディ:誰が私のことを決める権利を与えたっていうの!?
機械音声:あなたです。参加するにあたって口頭で承諾されました。
ウェンディ:どういうことよ。
機械音声:承諾する際は冊子に目を通すようにすべきです、ものの数分でできることなのですから。

ウェンディは苛立ち、チェンバー中央に据えられた椅子を叩く。そして自ら椅子へ座った。

ウェンディ:たまらないわね、それで私の売値は幾らなの?
機械音声:我々は精神的なことを扱ってはいません、あなたの肉体にこそ関心があります。
ウェンディ:言い方ってものを考えた方がいいわよ、わかって言ってるの?

室内のモニターから映像が流れ始める。それは人工知能によるイングレスの広報映像だった。だが、唐突にその映像は途絶音とともに消え、チェンバー内の灯りが非常灯と思しき赤色へと切り替わり室内に警告音が鳴り響く。そしてウェンディが耳に装着していたワイヤレス通話端末から高周波のノイズ音が鳴り響き、ウェンディは耳を押さえた。

シャポー:もしもし、ウェンディ、聞こえるか?
ウェンディ:ええ、これは誰の仕業?
シャポー:私だ、シャポーだよ。その件は後にしよう、まずは君をその部屋から出さなければ。
ウェンディ:そうね。
シャポー:わかると思うが、そこは遠隔制御だ。

ウェンディは椅子の脇に置かれたキーパッドを持ち上げて訊ねる。

ウェンディ:わかったわ、そうね、どういうことなのかさっぱりよ。
シャポー:古めかしい"9"のようなところがわかるかい、キーパッドのだ、そいつを"1"から"9"までの数字だと考えてくれ。そいつを次の順番に押していってくれ、 "1" "3" "3" "1" だ。

ウェンディは指示された数字を声に出し復唱しながらボタンを押していった。チェンバー内の警報が止まり、室内の照明は全て落ちる。ウェンディは椅子から立ち上がると扉の前へと向かった。

ウェンディ:...いつでもいいわ。
シャポー:いや、そこを出たらすぐに私のもとへ来てくれ。車を待たせてある。4番通りとグアダルーペ通りの交差点にいる白のフォード・フィエスタ、スペインの祭りのことだな。向かってくれ、北緯32.120度、西経99.1718度だ。
ウェンディ:ええ、いいわ、ただテキストで送ってもらえる?数字が多すぎよ。
シャポー:いいだろう、まずは向かってくれ。

この通信を最後に、ウェンディは扉の向こうへと消えていった。

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション007
遠隔オブザベーション・チェンバー
経歴に問題のないプロコトルを推奨

 経歴に問題のないプロコトルの評価を引き下げ
候補者の脅威レベル高
代替案は可能
 代替案を実行

訳注
ウェンディがシャポーから指示された座標はテキサス州クロスプレインズにあるロバート・E・ハワード邸だ。そこはリカージョンプライム・アノマリーと同時期に新たな文献が発見されたことが先に判明している。
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション008

プロジェクト・ダンレイブン・ケーススタディ 008
[ハンク・ジョンソン・ノマドの映像記録を傍受]

開けた田舎町を背景にハンク・ジョンソンが画面に登場する。右下に表示された目新しいロゴから1218ユニバースのハンク・ジョンソンと同じく新たなハンク・ジョンソンの主宰するテレビ番組「ノマド」の記録映像だということがわかる。
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ハンク:ノマドをお届けするよ。僕の名はハンク・ジョンソン、いま僕等はロバート・E・ハワード邸へ来てるんだ。「英雄コナン」の著者で、歴史上最も偉大なアメリカ人作家だね。それにここではエックスエムのエネルギーが溢れていて、誰もがそれを感じ取っているよ。

画面の外へ目を向けたハンク・ジョンソンが何かに気づいた様子を見せた。

ハンク:こいつは奇遇だな、考えてもいなかったよ。

突然駆けだしたハンクの先には、今まさに乗り入れてきたと見える白色の小型乗用車があった。その運転席に座っていたのはウェンディで、オースティンからフォード・フィエスタを運転してクロスプレインズまでやってきた直後のことと思われた。

ハンク:どうも、ウェンディ!

ハンクからの呼び掛けにウェンディはフィエスタから降りるものの、怪訝な表情を隠そうともしない。

ウェンディ:どうも...
ハンク:来てくれたことに感謝するよ!
ウェンディ:ええ、よろしく。
ハンク:それじゃあのことを話すとしようか、ノマドのハンク・ジョンソンだよ。

そこでハンクは画面の方へ顔を向けてスタッフへ口早に指示をした。
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ハンク:みんな、撮影は中断して構わないよ。

ウェンディとの会話はオフレコであるとハンクは示唆したが、それ以後も映像は途切れることなく記録されていた。

ハンク:君がダンレイブンについて知ってること全てを僕も知っておかなきゃならないんだ。
ウェンディ:ねぇ...あなた、録画にあった死体じゃない?
ハンク:そうだとも!録画で死んでたのが僕さ、見えていなかったことを別にすればね。リカージョンについて君の知ってることを僕も知らなきゃならない。
ウェンディ:リカージョンって?リカージョンが何かなんて何も、何も知らないわ。
ハンク:僕はアフガニスタンで胸に3発の銃弾を受けたんだ、友人のアズマティが太古のプライムアーティファクトを使って生き返らせたんだよ、僕の身体をシミュラクラへ変えることでね。そいつは1331日間経てば全ての記憶を失っちまうエックスエムでできた身体さ。何度も何度もそれが繰り返されるんだよ、まるでグラウンドホッグデーのようにね!

画面には映っていないカメラマンへウェンディが不快感を示し、それに気づいたハンクが手振りで下がるように促す。
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ハンク:落ちついてくれ、すまない、彼は新人なんだ。ダンレイブンは君に何を教え込んだんだい?
ウェンディ:わからないわ、とりとめもないことばかりで、エックスエムのことやナイアンティック計画のこと、イングレスがゲームのモバイルスキャナーとしてどうだとか、エクソジェナスな不滅の存在だとかね。
ハンク:ああ、エクソジェナスか...
ウェンディ:とにかく私はシャポーって人に逢おうと思うの。
ハンク:シャポーか、そうだね、彼も僕の友人さ。僕が彼に君へ助けの手を差し伸べるよう頼んだんだよ。死人から電話があったら君が不気味がると思ってね。
ウェンディ:それで、どうして私のことを知ってるの?どうしてダンレイブンを知ってるの?ダンレイブンの何を知ってるの?私に何を臨んでるのよ?
ハンク:いいかい、僕は映像配信で君を知ったんだ。
ウェンディ:何の映像よ。
ハンク:ダンレイブンはウェブサイト上でケーススタディを配信してるじゃないか。
ウェンディ:そんなはずない...
ハンク:君が知らないなんて...
ウェンディ:どうして映像を配信するような真似してるのか、わからないわ。
ハンク:わからないよ、いいかい、正直に言うとだ、私にはわからないがそれを知るためにも君は戻らなきゃならない。
ウェンディ:逃れるために散々苦労してきたのよ。
ハンク:わかってるが、君には内部情報を見てきてもらわなきゃならないんだ。
ウェンディ:冗談じゃないわよ、まるでリアリティ番組ね。お次は虫を食べさせるのかしら、それとも飛行機から飛び降りる?賞金目当てに今回のようなことをさせるというの?
ハンク:ああ、それは確かだよ...15万だ...
ハンク:エックスエムは実在してるし、シミュラクラも実在するんだ。僕はシミュラクラだし、それに...それにここには確かにポータルがある、君にだってその力を感じ取れるはずだ!

ウェンディを説得しようと必死に語るハンクの視界に再びカメラが入ったのか、再びカメラマンへの指示が飛ぶ。

ハンク:なんでまだ録画してるんだ?

録画を止めたかに振る舞うようにカメラが大きく揺れ動くが、実際には撮影を止めてはいない。

ハンク:すまない、必死なんだよ、まだまだ興味が尽きない、本当に君の助けが必要なんだ。
ウェンディ:ええ、私には、私にはあなたを助けることなんてできないわ。
ハンク:ウェンディ、ウェンディ!どうか助けてくれ、何度も何度もこんな人生を繰り返したくはないんだ、記憶を失いたくはなんだよ。
ウェンディ:何を...私は何をすればいいの?彼、まだ撮影してるけど...
ハンク:ああ、すまない、おい!

指示に従わずに撮影を続けていた新人カメラマンが突然走り出し、それをハンクが追おうとするところで映像が途絶える。
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ダンレイブン・ケーススタディ・セッション008
[ 妨害工作を検出 ]

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション009
プロジェクト・ダンレイブン・ケーススタディ 009

目を閉じて横たわるウェンディが映し出される。
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機械音声:ウェンディ?...ウェンディ?
ウェンディ:なんなの...く...薬なの?まだ私に薬を?

呼び掛けに目を開くもののウェンディは辛そうに顔をしかめる。起き上がるウェンディの背景から、そこがダンレイブン財団のオブザベーション・チェンバーであることがわかる。
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機械音声:チラシには製薬会社でもなければ調査に侵襲的手法が用いられていないことも書かれています。お聞きしたいのはオースティンのことです。
ウェンディ:ええ、オースティンという人とデートしたけど、どうしてオースティンのことを聞くの?
機械音声:テキサス州オースティンについて。
ウェンディ:ああ、なるほどそのとおりね...私はないけど。
機械音声:こう言われるのですか?オースティンへ行った記憶がないと。
ウェンディ:オースティンなんて行ったこともないと言ったの。
機械音声:こちらの映像ではそうでないことを示しています。あなたはそこで何百もの人々と言葉を交わしています。

モニターにオースティンの共和国広場を歩くウェンディの姿が映し出される。
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ウェンディ:いいえ、私は...それがオースティンなの?

ウェンディは椅子から立ち上がり、ゆっくりと自分の姿が映し出されたモニターへと歩み寄る。
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機械音声:記憶にある最後の出来事は何でしょうか?
ウェンディ:緑色のモーションキャプチャみたいなもの、だったはず...私は行ってないわ...そうでしょ?
機械音声:ウェンディ、それは4週間前のことです。
ウェンディ:最後の記憶は...ここにいたわ。あなたが...あなたが閉じ込めたのよ、この部屋に。そして...そしてここに何日もいてお腹が減ってる...
機械音声:ウェンディ、それはあなたの安全のため、そしてわたし自身の安全のためでしたが、ただちに退去するよう言わねばなりませんね。
ウェンディ:出て行けですって?まってよ、私は宇宙人にさらわれただけなのかしら、それとも...
機械音声:今すぐ退去しなさい。
ウェンディ:まってよ!いや、私は部屋を出ていかない!私は...

ウェンディは声を荒げるも部屋の扉の方へ振り返る。
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次の場面では建物から出ていく様子が映し出される。ロータリーでしばらく棒立ちとなるウェンディだが、ゆっくり襟元と右耳に手をやると、一瞬ノイズ音が入る。遠目のため定かではないが、携帯通話端末をセットしたとわかる。
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ウェンディ:ダンレイブンは実に出任せね...いいえ...フェイズ2は既に開始されているわ。

ダンレイブン・ケーススタディ・セッション 009
被験者が情報漏洩
訳注
今回のセッションは再びダンレイブンのオブザベーション・チェンバーに横たわるウェンディから始まる。セッション008でハンクに指示されたとおりに調査協力に戻ったとみることもできるが、ウェンディは記憶がないと主張するなど機械音声とのやりとりは不可解なものだ。彼女が本当に記憶を失ったのか、それともハンクとの関係を誤魔化そうとしているのかは伺えない。だが、部屋を後にした直後にウェンディの行った通話から、彼女が何れかの勢力へ積極的に関与し始めたことは確かなようだ。
プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション010

<人工知能倫理待遇協会>
フェイズ2:情報提供者の追跡

<傍受>
公園内監視カメラ映像

甲高い鳥の鳴き声とともに熱帯林を連想させる植物が映される。

20181224_01.png

その奥でベンチに横たわるウェンディが呻きつつ身体を起こす。それにあわせるように着信音が鳴り響いた。ウェンディは鞄の中を漁って携帯電話を取り出し、応答する。

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シャポー:ウェンディか?シャポーだ、帽子の男だよ。気分はどうだい?
ウェンディ:どうして?私が変なことでもしてた?
シャポー:意識を失っていたよ。こちらはダンレイブンが先週掲載した映像をちょうど観たところだ。

第2監視カメラ

ウェンディ:待って、先週?いま何曜日なの?
シャポー:月曜さ、ウェンディ。
ウェンディ:1週間...ずっとこの服を着てたってこと?
シャポー:私の計算では、君は5週間を無駄にしてるね。チェンバーへ閉じ込められて先週目覚めるまでにね。

第4監視カメラ

ウェンディ:ずっと意識を失っていたって、そう言うの?ふざけてるわ、シーハルクにでもなったのかしら?どうしてハルクじゃないのかしら。
シャポー:落ち着けよ、ウェンディ。シーハルクが本来の彼女自身なのはそのとおりで、有名な親族との関係のみで考えるものじゃないよ。もっとも今話すべきことでもないがね。ウェンディ、いつまでそこに居るんだい?
ウェンディ:考えたんだけど、1日に1度、私へ電話してよ。そして次みたいな符丁を言うの、あなたが「ウェンディ、今何をしてるんだい?」と言って、私が「現実世界にうんざりしてるの」と答えるわ。私がそう答えないのであれば...

ここでウェンディは自身の鞄に携帯端末とは別に封書が入っていることに気づき、抜き出す。

シャポー:符丁が噛み合わないなら、話してる相手が君じゃないとわかるってことだね、うまい手だ。だが、君の記憶には些か不安があるね。そうなったら、どうするんだい?

第3監視カメラ
封書の中身を確認したウェンディが手のひらに何かを手にする。封書には手書きで「これをあの部屋に隠せ。ハンク・ジョンソンより」と書かれている。

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ウェンディ:わからないわ。わからないけど、そうね、少なくともなんとかするんじゃないかしら。
シャポー:今から何をするつもりだい?
ウェンディ:ダンレイブンへ戻るわ。
シャポー:ウェンディ、君に何が起きているのかわかるまではあそこへ戻るような真似はすべきじゃない。君は私にとってかけがえのない人であって、調査のためじゃない。
ウェンディ:じゃあ、またね。

プロジェクト・ダンレイブン -- ケーススタディ・010

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改装と思われる作業を見て怪訝な様子で建物内に入るウェンディは、ロビーで荷物を抱えたひとりの男と鉢合わせする。

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ウェンディ:すみません。
恰幅のよい男:なんだい?
ウェンディ:ダンレイブンの方ですか?
恰幅のよい男:そいつは何だい?
ウェンディ:そのテレビをどこへ持って行くの?
恰幅のよい男:街中だね。
ウェンディ:街のどこに?
恰幅のよい男:さあね、うちの運送会社へ発送の依頼があっただけだからな。
ウェンディ:いいかしら?入ってもいい?
恰幅のよい男:ここは自由の国だよ、お嬢さん。

室内を見て回るも、研究の行われていた痕跡はなく、ラップトップの置かれた長机が規則正しく並ぶありふれた学習室となっていた。

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だが、学習室内を歩くウェンディに追従する監視カメラは現存していた。

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プロジェクト・ダンレイブン 010 / オペレーション・クリア・R.O.C.

状況 (. . .) 達成

プロジェクト・ダンレイブン:ケーススタディ・セッション011
<人工知能倫理待遇協会>
フェイズ2:ハンク・ジョンソンのリカージョン

<介入>
ダンレイブンの諜報 / ハンク・ジョンソンの記録
(考古学者・エックスエム研究者)

モニターのひとつに映し出されたのは、前回映像の終了直前、ウェンディが途方に暮れた様子で学習室内を見渡し、鏡に映る自分自身すら疑うかのようにじっと見つめる場面。
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続いて画面に現れたのはハンク・ジョンソン、髭が濃くラフな様子。
20181231_03.png


ハンク:よし、これはメッセージだ...えっと、たぶん僕自身に向けたね。こんなことあり得ないんだけど、ちょっと変なことでね。もっと時間が残されていれば起きたことを洗いざらい言い尽くせるんだが、君も次のシミュラクラのためにこんな映像を残すときがくれば僕の困惑がわかるだろうね。君は僕にはわからないハンク・ジョンソンとなるかもしれないけどね。おっと、情報だね、重要なことだ。君へ残したブレッドクラムを追ってくれ。最初のひとつは僕らが最初に死んだ場所で見つかるだろう。もう一度ウェンディへ連絡を取るんだ。僕はダンレイブン財団を信用しちゃいないし、彼女がその全てを知る鍵かもしれないと思っている。あと最も重要なのは、どんな状況に陥ったとしても君は...そろそろだ。君のためにやるとしよう。

映像中のハンクが奇妙な残響とともに忽然と姿を消す。その映像をウェンディが体験したと非常に酷似した室内で椅子に座り観ていたのは初めて目にする女性。
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椅子に座る女性:それで、あれがハンク・ジョンソンなの?リカージョンしたと?私たちにどういう関わりが?

その問いに答えたのは、スピーカー越しの男性的な声。

機械音声:ハンク・ジョンソンはあらゆる道理を断念し、レジスタンスへ合流したわけだが、君はそれが何を意味するかに疑問を抱いているね。第2フェイズが始まったということだ。

ハンク・ジョンソンの陣営決定...
レジスタンス

Ingress
2019/01/07 12:12:11
Current case studies aligned. 1/3 complete. 2/3 commencement January 28th. Further analysis needed.

DUNRAVEN AMALGAM 1/3
Dunraven Case Studies - Episodes 1 to 11 Compiled

 

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